きっともう大丈夫
「もー!ハルびっくりさせないでよ。赤ちゃんも動いてるよ」
そういって私は自分のお腹をゆっくりと撫でた。
「そんな事言ったって・・雄太が凄いこと言うからびっくりしてさ・・・」
そんなにびっくりすることか?
生まれる前から親バカ?
「えーーー!ハルだめなの?」
雄太も譲る気はなさそうなオーラを出している。
「だめって訳じゃないが、生まれる前からはさすがにはやくないか?」
そういうハルに雄太は口をとがらせながら
「別にいいじゃん。おれはハルに貸しがあるんだからね」
「貸ってなんだ?おれと雄太の間に貸し借りはなかったはずだけど?」
「さーたんを譲ってあげた」
・・・大人と子供の会話とは思えないやり取りに呆れ顔で見ていたが
これじゃ・・・いつまでたっても終わりそうにないので
「はいはい。この話はおしまい!赤ちゃんが男の子か女の子か
わかんないうちからそんな話はしなーい。わかった?」

それから1時間後に詩織が千沙と一緒に雄太のお迎えがてら
遊びに来た。
ハルと雄太の話をすると詩織は大笑いした。
「でも・・いいんじゃない?もし生まれてくる子が女の子だったら
雄太とくっつけさせて私たちは親戚よ。」
そういって雄太の頭をぐりぐりと撫でた。
だがハルは終始無言だった。
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