きっともう大丈夫
そんなある日
雑誌の打ち合わせのため明良が珍しく店に顔をだした。
「おつかれ~」
そういった明良を見た菜々美の手が止まっていた。
菜々美はまだオーナーである明良と一度も会っていなかった。
「菜々美ちゃん。紹介するね、オーナーの鈴木明良」
主人とか旦那とか言おうと思ったがどうしてだか言えなかった。
「はじめましてー。先週からここで働いてます、広田菜々美です。
よろしくおねがいしますー」
「よろしく」
それだけ言うと作業場に行ってしまった。
明良のそっけない態度になぜかホッとして仕事に戻ろうととすると
「沙希さん。オーナーめっちゃかっこいいですね。?」
完全に目がハートになってる。
すると横から詩織が口をはさむ。
「なーなーみー。残念だけど明良と沙希は夫婦でラブラブなの。
あんたは仕事しに来てるんだから花だけ見てろ!
それにあんた、私に『仕事に生きる―』なんて言ってたよね?
ほら!今からお得意様の所にお花生けに行くよ」
菜々美は詩織に引っ張られるように店を出た。
HANA-Bにいた頃もスタッフの女の子たちから人気があったから
それの延長戦とでも思っていればいいと思っていた。
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