先生、甘い診察してください
恥ずかしくて、チュッと微かに触れる程度のキスしかできなかった。
それが今の私には精一杯だった。
「ありがとう」
満足してくれたみたいで、彼は嬉しそうに笑った。
「あやちゃんからのキス…可愛くて、癖になりそう」
「えっ……」
んふふ、と笑いながら、私の唇を綺麗な人差し指で撫でた。
「さっ、治療を始めようか~」
空気が一変。
もうスイッチが切り替わったらしい。
今日の治療も、痛みを感じる事なく、あっという間に終わってしまった。