先生、甘い診察してください


「昨日の事なんだけど…」


あー、そういや日向くんも昨日バッタリ大橋先生に出くわしてたんだった。




「あの人って、誰?」

「えっとー…」

「あやの何なの?親戚、じゃないよな?あんな親戚はいなかったはず」



なーんか、日向くんらしくない。





「めっちゃ親密そうじゃなかった?まさか、彼氏?」

「えぇっ!!ち、違うよ…!」



慌てて否定した。彼氏じゃない。あの人は……、私の好きな人。


一方的な片思いだけど。




「あの人は、通ってる病院の先生だよ」



歯医者さんの先生、とは言わなかった。


虫歯が何本もあった事がもしバレたら恥ずかしいもん。




「…本当に、それだけ?」

「うん…。それだけだよ?」

「…へーえ」


な、何??


日向くん、明らかに納得してない顔してるよ?




「……もしかしてあや、あの人の事」


日向くんが言いかけた時




―キーンコーンカーンコーン



タイミング良く、チャイムが鳴った。



「日向くん、教室…戻ろうか」

「…そうだな」



結局、日向くんが何を言おうとしたのか、謎のまま。




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