BitteR SweeT StrawberrY
ケイ・・・
大好きだよ・・・

あたしは、ぼろぼろ涙をこぼしっぱなしにして、また、一粒、大粒苺を口の中に頬張る。
涙と混じってちょっと苦いけど、それでも、甘くてかぐわしい苺の味。

あたしは、ケイに出会わなかったら、きっと、こんなに切なくて、辛くて、悲しい思いなんかしなくてよかったんだと思う。
でも、あたしは、ケイに出会ったことを、後悔なんてしてない。
これまでも、これからも、後悔することなんかないと思う。

ケイに出会えてよかった。
本当に良かった。
だから、天使の羽を持ってるんだから、ずっとずっと、あたしのこと見ててね。
きっと、ケイがびっくりするぐらい、もっともっと強くなって、ケイに負けないぐらい、カッコイイ人生を歩くから。
必ず目標を達成してみせるから。

涙が枯れたら、また前を向いて歩くから・・・
今は・・・
泣かせてね・・・
ケイ・・・
大好きなケイ・・・

遠い空にまた長い飛行機雲がたなびいていく。
あなたの空に続く道のように。
白い雲が、青い空を横切っている。

あたしは、あなたに出会って強くなった。
ちゃんと歩いていくから。
心配しないで。
もう、出会った頃のあたしじゃないから。

ケイが、できなかったことは、あたしが、代りに全部するからね・・・
だって、あたしは・・・
こうやって・・・
生きてるんだから・・・

そう思ったあたしの耳元を春の風が通り過ぎていく。
あたしの口の中に広がる、甘い苺の香りと混じる、柔らかな春風。
その柔らかくて優しい風は、どこか、あったかいケイの腕の感触によく似ていた・・・


【END】





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