犬との童話な毎日

逆に黒曜の腕に力が入って、よろけるように一歩前に足を踏み出してしまう。

傾けられた黒曜の顔が近付いて。
それでも逸らされない瞳に。
心臓が痛くなる。

首元に潜り込む黒曜に、耐えられなくなって目をぎゅっと強く瞑る。

耳元に吐息がかかって。

「〜〜〜〜っ!!」

味わったことの無い、耳への刺激。




耳を甘噛みされるという初体験をした、初夏の夜。






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