カットハウスやわた
彼らしい
「真矢が、好きだ」


「く、熊野さん……」


「女なら、誰でもいいわけじゃない。軽い気持ちで誘っているんじゃない。初めて会った瞬間から、好きなんだ」


「あの……熊野さん?とりあえず、風呂場から出ましょう」


私が冷静に言うと、とりあえず言うことを聞いて部屋に戻った。小さなガラスのテーブルを挟み、向かい合って座った。


「あの……お気持ちはありがたいですが……私、まだ次の恋を始める気が、ないんです」


「元カレに未練があるから?」


「違います」


「未練があるんだろ?オレが今すぐに忘れさせてやろうか?」


「未練があったとしても、それを忘れさせられる人はいません。自分自身しか」


そう言って立ちあがると、つられるようにして、熊野さんも立ちあがった。


「真矢」


「お引き取り下さい」


「え?」


「いいから!早く帰ってよ!」


私はそう言うと無理矢理、熊野さんを追い出した。


バーベキューなんか、行かない。


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