甘い甘い体

遠距離



●ノリ



大学に入って、一度も神戸に帰ってなかった結衣。


「お正月は帰って来いって・・・お父さんが怒ってんねん。」


寂しそうにそう言うと


大晦日の夜に結衣は神戸に帰ってしまった。







「はぁ・・・」


カウントダウンパーティー中もため息ばっかり。


遠いなー。神戸って。





「寂しいね。」


これは以外。絢乃ちゃんに話しかけられる。


「うん。」


「結衣ちゃんもすっごく悩んでたよ?神戸に帰るの。でも夏休みも帰ってないからお父さん怒ってるって言ってた。」


「うん。」


俺も一緒に神戸に行こうかと思ったぐらい。



ダメだなぁー。俺結衣中心になりすぎ・・・



「絢乃ちゃんは?帰んなくてもいいの?」


「あ、うん。うち客商売だからお正月帰っても忙しいから相手にしてくれないの。邪魔するな言われるぐらい。だから時期ずらして帰るんだ。」


病んでる俺はにっこり笑った絢乃ちゃんを、思わずハグしそうになった。


いや、でも遠くからすげー智久の視線を感じる・・・・


智久を軽く睨み返し、


「絢乃ちゃん。あそこで怖い顔したヤツがスゲー睨んでるよ。」


「あ・・」


絢乃ちゃんはぱっと俺から離れて、カウンターにある飲み物を取ると小走りで智久のもとへ行った。


ちぇ、イチャイチャしやがって。


結衣が嬉しそうに『ついに智久と絢乃がくっついたで』って言ってたな。



あー結衣、なにしてんだろなぁ。


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