甘い甘い体
初恋

●絢乃


12月に入って、マフラーしたり、手袋したり。


東京はあちこちイルミネーションでキラキラしてる。





「絢乃ちゃん」


「あ、」


「待った?」


「ううん。大丈夫。」


そう言ってにっこり笑うと。


私の手をゆっくり取って。


「冷たいじゃん。結構待ったでしょ?」


「う・うん・・・・講義早く終わっちゃって・・・」


「ならメールくれれば良かったのに。」


そう言って、私の手にはぁっと息をかける。


「行こっか。」


自然と手をつないで歩く。


私はさっきから真っ赤な顔とドキドキが止まらない。






夏の旅行から。


何かと連絡をくれる智くん。


毎日、メールくれたり。


時間が合えば、お茶したり。


こうやって待ち合わせして一緒に買い物したり。


東京に出てきて一緒に行動できる人って限られてるし、みんな忙しいから、こうやって相手してくれる人がいて助かる。


地理わかんないし。


年下だけど、すっごく頼りになるんだ。





「鍋?」


「うん。鍋食べたいって仁君が言ってて、うち小さい鍋しかないし、カセットコンロもないから。買おうかなって思って。」


そう言って雑貨屋さんの食器のコーナーに入る。


「なんで?」


かわいい鍋がいっぱいあって、イロイロ見ていると、不機嫌そうな低い声で智くんが呟く。


「え・・・だって、みんなでうちで鍋したいねって・・・」


うちは結衣ちゃんちよりは広いから。


みんなで鍋したら楽しいだろうなって思ったんだけどね。


なんで膨れてんのかな?


ちょっとかわいいんですけど。


唇を尖がらして、目を細めてる智くん。


「ね、どれがいいと思う?」


たまに機嫌が悪くなるけど、こうやって普通に話しかけたら智くんの機嫌は直っちゃうんだよね。いつも。


「オレンジがいいかな?黄緑もかわいいよね?」



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