【完】お隣さんは泥棒さん!?


「おかえり、花梨」


「あ…ああ…」



親切な顔をしてあたしに近づいてきたこの男は

一番信用してはいけない人だった。




「戻ってきたんだね記憶が」


あたしの歯はカタカタと震えている。

記憶がすべて戻ったわけではないが、体が覚えている。



「花梨」


修ちゃんはあたしに近づき、頬をそっと撫でた。


ぞわっと悪寒が走る。


あたしはドロボーの体を抱きしめ、精一杯の抵抗をした。





「…まさか、俺の息子に花梨が恋をするなんてな」


「…え?」


「花梨、直人は俺の愛人の生んだ子供なんだよ」






ああ、神様。


なんであなたはそんなにも意地悪なの。
< 85 / 97 >

この作品をシェア

pagetop