HONEY TRAP(1)~上司は身勝手な婚約者~
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病院近くの3階建ての雑居ビルの地下にある小さなスペインレストラン。



人目に付かない一番奥のテーブル席を選んで腰を下ろした。



適当にパエリアやサラダ、ピザと一品料理を選び、二人で分け合うスタイルでオーダーした。




「君は本気で俺と結婚する気でいるの?」



「だって、こちらからは断れないし」



「まぁ、君の男…相当悪い男だね」


「柾史と話したんですか?」


「少しだけ…」


伊集院さんはすました顔でお冷に一口を飲んだ。


元ピアニストとあって指は細く長くて爪も手入れされ、女性のように綺麗だった。

ネイルも似合いそう。



「俺の手、ジッと見て気になる?」



「元はピアニストだったんですよね」



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