HONEY TRAP(1)~上司は身勝手な婚約者~
「その噂とDNA鑑定もすべて…死んだ元カノの妹がやったコトだと思う。二人の仲を裂きたいからと言って常軌を逸したやり方だ。優奈ちゃんにも見えているだろ?恭介のキモチが…今からでも遅くないと思うぞ」




「ゴメンなさい。浅見さん…私は一人でマー君を育てていくと決めました…」




私はベビーカーの中で眠るマー君を見つめる。




「優奈ちゃんがそこまで言うなら、俺はもう何も言わないよ」




「浅見さん…」




「帰ろうか…」




「はい」



私の長い髪が風にフワッと浚われる。


麻衣子さんは恭介の社内にそんな噂を流していたんだ。


でも、そう思われても仕方がない。私は恭介と結婚し、別の男性の子を産んだのは事実だ。その事実を胸に秘めて生きていくしかない。

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