HONEY TRAP(1)~上司は身勝手な婚約者~
バックミラーに映る佐野部長の表情。



段々、眉間に深いシワを携え始める。



渋滞で苛々しているだろうか?




「俺も佐野部長と一緒で、名屋先生の事務所で半年間程バイトしてたんです」



長尾君って喋り出すと止まらない性格の人?



佐野部長は唇を引き結んで、本格的に不機嫌な顔つきになって来た。




「でも、俺は今一つで名屋先生の力になれなくて…でも、佐野部長は模型製作も上手で、特に3DのCGが他の学生よりも秀でていたとか…名屋先生、部長のコト惜しい人材だと嘆いていました」





「黙れっ!!」




佐野部長は突然怒り出してしまった。



私と長尾君は唖然とする。





「す、すまない。普段はこの道、渋滞しないんだ…お前らに当たるつもりはなかったんだ」




佐野部長は慌てて私達に謝罪する。
私は佐野部長の意味不明な態度に首を傾げた。
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