もう弟なんてやめてやる。
雫の寝顔を見ながら
ふと蘇る芹沢の言葉。


『雫はあんたを探してたんだよ』


あの言葉に
胸が締め付けられた。

雫は、俺が居ない間
ずっとこうしていたんだろうか…


「何で、そこまでして…」



俺を追いかけるんだよ。


普通なら気持ち悪いって
有り得ないって

離れてくだろ…


「ん…」



ビクッと陸の肩が震えた。

雫がゴロンと寝返り。
そしてゆっくりと雫の瞼が開いて。


「っ、」


陸が無意識に息を殺した。


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