もう弟なんてやめてやる。
雫の言葉を聞いて
陸の目から一筋の涙が流れる。


「っ」

肩を震わせた。


その様子に、
雫の目にも涙が滲む。



「…陸、好き」

「っ、今は…反則」

「本当のことだもん」

「…抱きしめても、いい?」

「…いいよ」



顔を上げると
涙目の雫が笑いながら

両腕を広げていて。


俺は引き寄せられるように
ゆっくりと雫に近づく。


そして、


「俺も、好きだよ…雫」



小さな雫を


自分の姉を──────、抱きしめた。


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