もう弟なんてやめてやる。
キィ…

重い扉を開けて入ったのは
校舎の1番奥にある第1特別室。

カーテンが閉められて
薄暗い部屋の中、


「陸くん!」

「…何の用?」

「分かってるくせに…」


すぐに俺の身体に
抱きついてくる明石。


フワッと鼻をかすめた柑橘系の匂いに
顔をしかめた。

ベリッと剥がすように
明石を俺から離すと

冷たい視線を向ける。



「……香水、今まで付けてなかっただろ」

「………」

「この前のは、わざと?しかも今日は凄い匂う」



俺の言葉に動揺したのか
目を泳がす明石に

苛立ちを覚える。


ふざけんな──!


「俺が、雫に気づいてほしくないの知ってんだろ」

「こ、香水は気分転換だもん」
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