もう弟なんてやめてやる。
のそっと立ち上がって
部屋のドアノブを握った。


陸、もう起きてるよね?

どんな顔して会えばいいの…


あたし、いつもどうしてたっけ?



「雫ー、いい加減にしなさい!遅刻するわよ!!」

「あ、はーい!」



とりあえず部屋から出なくちゃ。

ガチャ…と静かにドアを開けて
顔だけ外へ出した。


周囲を確認。
陸が居る気配はない。


なぜかホッと胸を撫で下ろした。


バタバタと階段を駆け下りて
リビングへ向かう。

ドアの前で深呼吸。

そして、ゆっくりとリビングのドアを開けた。


ガチャ…



「………あれ、陸…は?」


そこには…、
いつも居るはずの陸の姿がなくて。

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