best love〜ぎこちない恋の物語〜
#1 席替えの奇跡
「藤井...付き合ってください!」
「えっ」

この出来事が起きたのは、今から1年2ヶ月後の話です。


早速ですが、物語は1年2ヶ月前にさかのぼります...




「梨奈、隣誰だった〜?」
「山下だよ...彩未はー?」

「桜木だった〜」

「桜木ならまだいいじゃん〜だいたい山下とかさぁ...」
「まぁまぁ、じゃ授業始まるからまたあとで!」

「彩未!頑張ってね」

「え?なにを?笑」

「いやなんか、予言っ!」

「あ、うん」
よくわからなかったけど、私は笑顔で答えた。


まさかこの親友、塚本梨奈の予言が当たるなんて、このときは考えもしてなかった。


紹介が遅れました!
私は藤井彩未。梅泉中学校に通ってて、今は中1です!といっても、もう8月なんだけどね(笑)

2学期が始まって、席替えして、まぁ特になにもなく、1週間が過ぎた。


「おい、藤井」
「え?!あ、なに?」

いきなり隣の席の桜木に、話しかけられたからびっくりした...

「四角2番の問題分からないの?」
「え?!いや分かるって!ただ今はぼーっとしてて...」

「...そうなんだ。真面目にやんないと、先生に当てられるぞ」
桜木は最後にニカっと笑って、前を向いた。

桜木は頭いいから、数学とかの問題で私が悩んでる素振りを見せると、すぐに話しかけてくる...

まぁ嫌なわけじゃないんだけどね!


キーンコーンカーンコーン


「うぇい!もう給食だー」
なんてクラスの問題児(?)川本が叫ぶ。


「あ〜高藤爽也みたいな、男子現れないかな〜」

「え、藤井、それもしかしてさ...」
「え?なに、桜木」

「『ラブハピ』の高藤爽也?」

「なんで?!なんで、桜木が『ラブハピ』知ってるの?!『ラブハピ』って、女子中高生が読むような少女漫画だよ?!」

「なんか、姉ちゃんに借りて読んだ!」
また桜木はニカっと笑い、おまけにピースサインをした。

そのあとずっと、『ラブハピ』の話をしていた。
想像以上に盛り上がったので、お互いびっくり(笑)

「藤井、最新刊持ってる?昨日発売した」
「それさー買おうとしたら売切れだったんだよねーさすが大人気漫画!!」

「じゃあ貸そっか?」
「え!いいの?」
「おぅ、明日持ってくる」
「わーありがとう‼」

まさか男子、しかも桜木が少女漫画を読んでるなんて...

でもこれで仲良くなれたし...
趣味も合うし、桜木っていいかも。



そして1週間が経った。

私と桜木は、いつの間にかすごく仲良くなっていた。


「ねぇ、桜木!『一生大好き』もかして〜!」
「仕方ねぇな〜じゃあ明日持ってくる」
「さっすが!さんきゅー」
私は笑顔でピースサインをした。うまく笑えたかはわからないけど...


「彩未ーー!」
と、隣のクラスであり、小学校の時の親友の小池愛理が、私たちの教室に来た。

「お!愛理〜」
私は手を振って愛理の方に向かった。

「ちょっと話があるんだけど...」
「んー?どした?」

愛理は顔を赤く染めて言った。


「私ね、桜木が好きなんだ」


なぜか心臓がバクバクした。
同時にどうしたらいいか、分からなくなったような、気分になった。


「でさ、彩未が最近桜木と仲いいって、噂で聞いて、教室来たら本当に仲良さそうに話してたから、私も混ぜてほしいな...なんて思って!」

「わかった!今度から廊下で話すから、愛理廊下に来てね!」

「ありがとう〜」
と声を高くして、愛理が抱きついて来た。

「じゃ、次の授業移動だから!バイバイ〜」
愛理が走って教室に帰って行った。


私は誰もいないところで一人になったような気分になった。

元親友の恋を応援するとは言ったものの、なぜか本気になれない。

恋の応援とか、キューピットとか大好きなのに...


なんで?


私、もしかしたら...





桜木が好きかも。


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