Dear・・・

スタジオ[Keisuke.side]

あの夜からほぼ毎日の様に、慶介は博昭に色々話していた。


その代わり治とはメールをしていない。


相談というよりは、翔太との話をただ気兼ねなくしているという感じ。


黙って聞いてくれる博昭が、慶介にとっては救いだった。


偏見のない変わらぬ目で見つめてくれる博昭は、慶介自身を異常ではないと教えてくれている様だった。


その博昭の優しさに、慶介は淡い恋心の様な気持ちを抱いていた。





しばらく、何事も無く時間は流れていく。


今日の練習も何事もなく進む。


すると、急に優人が体調不良を訴えた。


顔は青ざめ、目は虚ろ。


明らかにその辛そうな姿に、藤田はすぐに駆け寄っていく。


しばらく二人で話した後、藤田が言った。


「今日はここまで。早く帰って体調整えろよ」


そう言い優人の帰りの用意を手伝う。


礼人もかけより、それを手伝う。


「やった。じゃあ、今日飲んで帰らね?」


早く終わったのを良いことに、智貴が言った。


すると、凄い形相で藤田が智貴を見た。


「お前はバカか?来週本番なのに酒飲んで騒いで喉痛めたらどうする!問題でも起こした時には…」


頭を抱える藤田。


「早く帰って寝ろ!」


「ごめんなさい。冗談です」


ふて腐れた声で、智貴が謝った。


「分かったなら、まっすぐ帰れ」


そして、藤田は優人を気遣う礼人と三人で部屋を出て行った。
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