Dear・・・
慶介は翔太の元へと行く。


駐車場を歩く翔太にやっと追いつき、腕を掴む。


が、その腕はあっさりと振りほどかれてしまう。


翔太はゆっくりと振り返り、しっかりとした視線で慶介を見る。


そのまっすぐな瞳に、慶介は自分の事を恥じる。


その目から翔太の深い想いを感じる。


海風が切ない潮の香りを二人の顔に吹き付ける。


重い空気の中、二人は沈黙を守るが、前の道路を激しく行き交う車の騒音により静寂が訪れる事はなかった。
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