不埒な恋慕ごと。
*****


事件が起きたのは、体育祭本番の日の事だった。


「寧々ちゃん!」


その時わたしは自分の出番はずっと先の事だったのもあり、ただ生徒席からクラスメイトを応援していた。


そして、扇いだうちわの生温い風を感じながら、暑い、とひとりごとを漏らした時。


とても慌てた様子で、朝霧くんがわたしの元へ駆けつけてきた。


「……どうしたの?」


ただならぬ様子を感じ取り、わたしからも朝霧くんに駆け寄ると、彼はTシャツの裾で額から流れた汗を拭った。


彼の綺麗に割れた腹筋が覗いて、わたしは慌てて目を逸らす。


「次の次!男女共にリレーでしょ。

 入場門に並んどかなきゃならないのに小日向が居ないんだよ。寧々ちゃん何か知らない?」

「お手洗い、……とかじゃないの?」

「それが、居ないみたいで。」

「……」


菜々ってば、あんなにアンカーに選ばれて嬉しそうにしてたのに、……なにやってるの。


2人困惑した顔を見合わせる。


すると、偶然横を通ったクラスメイトが、あっ、と声をあげた。


朝霧くんとほぼ同時にその子の方へ目を向けると、彼女は少し驚いたように肩を揺らし、えへ、と笑った。


「……えっと、あたし、さっき食堂にお茶買いに行った時、菜々ちゃん見たよ。

 食堂から裏庭見えるでしょ、そこで、何人かの女の子と居たけど……。」


朝霧くんを見ると、彼もわたしを見て、深く頷いた。


わたしたちは、駆け足で裏庭へと向かった。
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