姉さんの彼氏は吸血鬼 孝の苦労事件簿①
「……ざまあみろだわ」

くすくす……。


自分を騙すように楽しそうに笑う。

それが分かっているから、酷く虚しい。



「――小夜子を返せ、セレナ……」


気配は殺されていて、一片の隙も無い。

ちょっと油断したか……。

すぐ傍で…
…耳元で、エリアルの声がした。


するとセレナは、三秒だけ…
…死刑執行を待つ罪人のように、


祈る気持ちで目を閉じた。
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