姉さんの彼氏は吸血鬼 孝の苦労事件簿①

エリアルは、きゅっと姉さんの肩を抱いた。やめろおおっ!

「こらーっ、姉さんに触るな!」

だが、姉さんが目を擦って俺を見ていないのをいいことに、
エリアルは邪魔されるもんかとばかりに、

起き上がりかけた俺の脚を引っかけて、
もう一度転ばせた。こいつぅーっ!


「大丈夫だよ、大丈夫……。
全部、僕が何とかするから……」



その時、お守り袋からもう一枚の紙がはみ出していた事と、
そこにはセレナさんの居場所が書かれていた事を、

俺はまだ知らなかった。

< 72 / 292 >

この作品をシェア

pagetop