ごまかすき。【完】
千音に触れていた手をそっと離す。
視界がないからよくわからないけど、千音の心臓があるであろう場所に静かに手をおく。
ドクン、ドクン。
あたしに負けないくらいの早さで脈打つ心臓。
「勝手に探らないでよ」
拗ねたように放たれた言葉が、スッとあたしの耳に入って、さらに二人の心臓が早くなる。
「付き合いたい」
思わずそう言ってしまった。
千音の全てが、
全部、
全部、
あたしで染まればいいのに─。