ごまかすき。【完】
「急がなくていいんだよ。 俺たちは俺たちなりのペースで進めばいい。 気持ちには変わらないよ」
そうかもしれない。
あたしは焦りすぎていたのかもしれない。
“付き合う”という行為が、千音という一人の存在を自分のものにすることじゃない。
「俺は、付き合わなくても、好き合っていけるっていう自信が欲しい」
「…あたしも」
「俺先に風呂入るね」
「……」
そう言って颯爽と部屋を出ていってしまった千音に言葉を失う。