来い恋
「でも・・・仕事が・・・」
「そうよ~課長。吉野さん自分の仕事を残して来てるんですよ。
 今ならまだ十分残った仕事やれますし、無理して引き止めなくても」
いや・・・四宮さんの場合は完全に私が邪魔なだけよね。
「はは・・・まあ~そうですね」
ちらっと亮輔さんを見ると
「それなら大丈夫。次長には既に許可取ってるしそれに吉野って
明日も休みだろ?」
おいおい、そこまで把握してたというか手をまわしてたの?としか
思えない発言だった。
だが2人きりの出張を満喫する予定の四宮さんも食い下がる。
「で・・でも、これから一人で観光なんて・・・ね~~寂しいわよね」
同情じゃないよね。帰ってほしいだけだよね。
なんかそこまで言われるとむかつくんだよな。
あなたの隣にいるのは私の彼なんだし。
「そうですよね~~」
「そうでしょ~~吉野さん」
「はい。せっかく京都まで来たんだし一人で観光・・・情緒があっていいかも
 この辺ってたしか・・・平等院とかありましたよね。あれって世界遺産なんですよね」
四宮さんの思惑は見事に外れた。
亮輔さんはというと声を出さず「後でメールする」と言った。

亮輔さんたちは宇治の京くみひもの大きな工房に行った。
一人になった私は駅で周辺の観光マップをもらい、一人で観光することにした。
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