来い恋
そんなある日
仕事から帰って来た亮輔さんはすぐに海斗の部屋に行くと
眠ってる海斗を着替えもせずに見ている。
夜遅く帰ってくることが多いので、海斗と遊んであげられる時間が
作れないのが彼の悩みみたい。
「ご飯食べる?」
遠慮気味に声をかけると名残惜しそうに立ち上がり海斗の部屋を出た。
「芽依・・・話があるんだ」
遅い夕飯を食べながら亮輔さんは真面目な顔で私を見た。
「なに?」
「・・・・・日本に帰れる」
私は持ってたフォークを落としそうになった。
「い・・いつ?」
「・・・・来月だよ」
亮輔さんはうれしそうに答えた。
私は気がつくと席をたってぴょんぴょん飛び跳ねていた。
「・・・・うれしそうだね~」
うれしいに決まってる。
やっぱり私は日本が好きだ。いくらここでの生活に慣れたとはいえ
やっぱり畳の匂いが恋しくなる。
そんな私の様子を見ていた亮輔さんは立ち上がると私を抱きしめた。
「結婚後にすぐ海外での生活で芽衣にはいろいろと大変なことがあったね。
今までありがとう。来月から・・・あのマンションでもう一度し新婚気分味わう?」
私たちが結婚前に暮らしていたマンションには私の初めてがたくさんが詰まっている。
私は自然と唇を合わせていた。
「ねぇ。」
「なに?」
「ちょっと不安・・」
「日本に戻るのが?」
私は黙ってうなづく。
日本に帰ったらまた亮輔さんは女性社員にちやほやされる。
前は一緒に働いていたからよかったけど、もう私は専業主婦
きっと新たなファンも増えるのかなーと思うと不安になる。
私の思っている事が亮輔さんにはわかったらしい。
「大丈夫。こっちにいても金髪美人にもなびかず芽衣一筋だったんだから」
「本当に?」
「じゃあー証拠みせてよ」
挑発的な私の言葉に亮輔さんは口角を上げ
「仰せのままに・・・今夜は・・・・眠らせませんからね。奥様」
いつの間にか口調が執事みたいになってる!
でも・・・執事に向いてるかも・・・・
私は亮輔さんに抱きかかえられながら
幸せを実感していた。

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