来い恋
・・・・やっぱり落ち着かない。
付き合っているんだから隣に座ったくらいで緊張なんかしてたら
駄目なんだろうけどどうにも落ち着かない。
そんな私の様子を見ていた亮輔さんは、とりあえず飲もうとビールを差し出した。
それを受け取り「お疲れ様」と小さく乾杯した。
それから出張の時の話や小野寺主任のノロケがうざいとか次長は酒癖が悪いとか
いろんな話をしてくれた。
・・・きっと私をリラックスさせるためにこんな話ししてくれるんだなって思うと
あたたかい気持ちになった。

それからお互いの事を話してるうちに四宮さんの事を思い出した。
亮輔さんに相談すると一言

「人違いって言っとけばでいいよ」

「え?!そんなんでいいんですか?何かどうでもいいような答えでは?」

亮輔さんは持っていたビールをテーブルに置くとソファーに深くもたれ顔だけ私の方を向く
「じゃあ。なんか凝った理由でも考えたほうがいい訳?話を作るのは構わないよでも
その度にいちいち理由を考えて取り繕ってると後でぼろが出るんじゃないかと思うけど。
・・・伏せているとストレスになる時がくるかもしれない。って言ったよね。」

私は黙ってうなずいた

「今回みたいな事がこれから当分続くって事なんだよ。その度に今回みたいに悩んで
理由考えていたんじゃ、身がもたなくなるよ。そうならないようにするには深く考えない事・・・」

たしかに亮輔さんの言うとおりだ、自分でお願いしておいて情けない。
「ごめんなさい・・・そうですよね。下手に理由つけて自分の首絞めるようなこと
しちゃってちゃ身が持たなくなっちゃいますね。」

「・・とにかく何か聞かれても違うって否定してくれ。
どうせみんな俺には直接きいてこないんだろうしなー」
すると亮輔さんはいきなり私をぐいっと自分の方へ引き寄せてきた
「りょ・・りょうすけ・・さん?!」

亮輔さんは私の耳元に顔を近づけ
「ごめんなさい・・・のお詫びがほしいな・・・」
囁くような甘い声に背筋がゾクッとした。
こんなの初めての感覚でもう半分パニック!
しかもお詫びって…お詫びってなにすりゃいいの?
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