来い恋
エレベーターは10階で止まった。
背中を押されるようにエレベーターを降り、部屋まで行くと鍵を開けた
「どうぞ、ここが未来の君の部屋だよ」
背中を押され部屋に入った。
正直、ピンとこない。
廊下の突き当たりに扉がありそこを開けるとリビングがあり
夜景が一望できる大きな窓があった。
思わず駆け寄って窓から外を見る
「す・・すごい・・・10階って高いんですね。夜景がとっても綺麗」
私の住んでる2階建てアパートとは比べ物にならないほどの景色で
うっとりしてしまった。
ふと、目線を少し上げるとガラスに反射した亮輔さんが腕を組みながら
やさしい眼差しで私を見つめている姿に気がつき、胸がキュっと締め付けられる
ような感じになりとっさに俯いてしまった。
「芽依?」
振り返ると亮輔さんは私のすぐそばまでいた。
「気に入ってくれた?」
「素敵なお部屋ですね、夜景もきれいですね」

大きなテレビと3人掛けソファーとローテーブルというシンプルな感じだった。
そんな私の思っている事がわかっていたのだろうか
「家具は一緒に選びたかったから必要最低限のものしか置いてないんだ。」
本当に私と結婚するつもりで言ってるようだった。
でもこの人は本当に私と結婚したいのか・・・
しかも私たち、キスすらしたことなにのに・・・
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