来い恋
「芽衣」って顔の近くで名前を呼ばれるまで本当に気がつかず
気がついた時には既に遅かった。
泡だらけのお風呂だったから辛うじて裸を見られずに済んだが
驚いたのはそれだけではなかった。
さっきシャワーを浴びたはずの亮輔さんが腰にタオルを巻いただけの姿で
バスタブに入ろうとしているではないですか!
「ちょ・・ちょっと・・りょ・・りょうすけさん?」
言葉がなかなか出てこない。
本当は
何でこんな恰好でここにいるんですか!って言いたいのに
あまりの驚きであわあわするばかり。
亮輔さんはそんな私の慌てっぷりをにこにこしながら見ている。
そして片足をバスタブに入れる
「きゃー!ちょっと・・・恥ずかしいから入らないで!」
手をばたつかせて阻止するが効果は全くなし
「いやだね」
それだけ言うとバスタブに入り座る寸前で腰に巻いていたタオルをはずした。
私はというと瞬時に亮輔さんの反対側で背中を丸めどうにかして裸を
隠そうと必死だった。
だがその努力の甲斐もなく腰を両手で掴まれ私の背中に
熱い胸板が当たっていた。

「安心して。のぼせちゃうとこの後のお楽しみがなくなるら・・・」
亮輔さんは耳元で囁くが私はのぼせよようがそうじゃなかろうが
すでにパニックなんですが~~~!!!
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