カッパァ華
河童山が鎮火に向かいだしたのは通報から、丸一日が経っていた。



一晩中、秀樹は政吉と一緒に山火事を見守り続け、その小さな体は悲しみに震えていた。



「カッパァ……生きててくれよ……
頼むから生きててくれよ……
お前とはまだまだ遊びたいんやから……
また前みたいなキョトンとした目で、俺を見てほしいんやから……
頼むから……」



秀樹は、声が枯れてもずっとずっと叫んでいた。



その声が届く事を祈り、信じて。

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