カッパァ華
しかし、その穴は二人が以前見たように口を大きくは開けておらず、燃え盛っていたであろう木々や華々が穴の入口から入り込み、大惨事の悲惨さを現していた。



入口から秀樹は、泣き枯れた声で必死に河童に呼び掛けていた。



「カッパァ……頼むから……
頼むから……鳴いてくれよ……
カッパァ!
返事してくれよ……カッパァ……」



秀樹の望みとは裏腹に、秀樹の声だけがその場に響き渡り、返答はまったく返ってはこなかった。



しばらく立ち尽くしていた秀樹は、膝から崩れ落ちていた。



辺りには焼け焦げた匂いが立ち込め、木々がざわめく音もしなくなった静かな光景には、秀政の泣き声だけが響いていたのだ。


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