彼の秘密と彼女の秘密


「御当主様、お客様が御到着されました」

女中が顔を出す。

「ここに通してください」

社長とマネージャーが入ってくる。
上座に凛と嵐。下座に社長とマネージャー。
私は真ん中に座っている。


「社長、マネジャー、今までたくさん可愛がっていただいたのに、
長期休暇を勝手にとって申し訳ありませんでした」


私は頭をさげる。


「茉莉。その事はいいんだよ。辛い中よく頑張っていたと思うよ」

「社長...」

「前崎社長、今回こちらからの要件は茉莉をこちらの事務所に移籍させたいと考えているからです」

「鞍馬社長の事ですから、こちらの意見等通る事はないでしょうに、なぜ敢えてこの様な席を?」

「礼儀だからです。本来ならばこちらからお伺いしなければならないところを、
私用ですがなかなかここを離れるわけにはまいりませんでしたので。申し訳ありません」

「そうでしたか、茉莉の事、よろしくお願いします」


社長とマネージャーが頭を下げる。


「マネージャーですが、こちらの桐谷という者えお伺わせます。引継ぎ等よろしくお願いします」

「わかりました。今回の移籍は記者会見をされるおつもりですか?」

「はい。明日13時から。準備はもうできています」

「さすがですね。お仕事がお早い。それではまた明日。これで失礼いたします」



社長達は帰っていった。




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