俺様とネコ女

「で?話ってなに?」


昼のピーク時が去った社員食堂は閑散としている。静かに話がしたかったから、わざと時間をずらした。


「あ、そうそう。お前噂になってるぞ」

「ああ聞いた」

「高級寿司屋で寿司食わずに女食ってたって」


思わず吹き出した。俺が聞いたのとは違ったし、いくら噂とはいえ、常識ってもんがないのかよ。

「俺は高級寿司屋で女とイチャついてたって聞いた」

まだ笑いが残る俺とは対照的に、直哉は真剣な表情だ。


「どっちにしろ、相手はこころちゃん?」


確信を突いてきた。もう、言い逃れは出来ない。

するつもりもないが。
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