秘めた恋

初恋



大樹君と初めて会ったのは高校一年の入学式の日だった。

式が終わり、ずらずらとみんなが新しい教室に向かう。
私が一番最後に教室へと入った。
一瞬みんなの注目を浴びるがすぐに目は逸らされる。

私は高校でのクラスでも馴染めずにいた。
今日、初めて会う人ばかりだからというのもあるが
私の場合、それだけが原因ではない。

ひそひそ話が耳を掠める。
一瞬、自分のことを言われてるのではないかと思い、
心臓の鼓動が早まるも、どうやら噂の相手は私ではなかった。

古橋 大樹。
どうやら彼は、1年生の中でも背が高くて格好よく
一際目立っていたらしい。

「超、イケメンだったよね~。」
「もうあのクールで人を寄せ付けないオーラが魅力的だったよね~。」

はて、そんな格好良い人がいたのに
なんで私は気付かなかったのだろう。

ずっと俯いてばかりいた自分に後悔した。
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