秘めた恋
私は、副社長に腕を引っ張られながらついて行くかたちとなった。

行き交う人たちが私たちをチラチラ見てくるが
彼は脇目も振らず私を大通りの見える場所まで連れてきた。

路肩にはフェラーリが停めてあった。

「乗れ。」

そう言って彼は車のドアを開けるが私はその場に立ち止まったまま動かない。

「おい、いいから乗れよ。」

「なんでですか?訳を聞かせてください。」

「ここは目立つから早く乗れ。」

そう言われて私は仕方なく助手席に乗った。

彼が運転席に乗り、前後左右を確認するとウインカーを出して
車道に出た。

愛車なのだろうか。見た目は格好良いが乗り心地が
あまり良いようには感じなかった。

そう思っていると突然、

「これから会社に戻る。」

と言われた。

「は!?」

「お前にも手伝ってもらう。」

「嫌ですよ!私もう今日の仕事は終わってるんですから、また戻るだなんて」

「これから重要な会議を行う。トップシークレットだから関係者しか入れない。」

「あの、私がそれとどう関係が・・・」

「お茶汲みしろ。」

「はぁ!?」

ますます訳が分からないまま車は会社へと向かっていく。
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