秘めた恋

真実の愛

賢斗を見ると彼は気まずそうに顔を背けた。


え・・・・?なに、知らない。どうゆうこと・・・・?
賢斗が婚約してるなんて・・・・・

賢斗は、ふっと笑うと「婚約は親父が勝手に決めたんだよ。」と
つぶやいたが私に言い訳をしているようにも聞こえた。

「そこの会社は急成長を遂げ、一部上場にまで上っている。最近は規模拡大を計画し、莫大な資金援助を必要してると聞いた。その会社に取り入るため、婚約者にいい顔をしたいあんたたち杉並家は家族揃って経理処理を改ざんし、報奨金を融資としてパルミエに送金した。」

「だから、報奨金はいらないと杉並PLは言ったんだ。もともとその金は
パルミエに送金していて、ないと知っていたからな。」

黙り込んだ賢斗に向かって私は「ひどい・・・・」とつぶやいた。

「ひどいだと?」彼は心外とでも言うかのようにものすごい形相で私を睨んだ。

「そもそも、お前が俺との結婚をなかなか決断しないからいけねーんだろーが!!」
そう怒鳴られ私はビクッと震えた。

「はっ、くだらねー。」

喫煙所でもないのに賢斗はタバコを取り出し、火をつけると吸い始めた。

「ま、次の女はお前と違って金持ちのお嬢だから俺にふさわしいってわけ。
親父も喜んでたしな。」

くっく・・・と笑ったかと思うともう一度私を見て冷めた目で言ってきた。

「お前みたいな片親しかいない薄汚れた貧乏人にもう興味ねーよ。見た目だけは綺麗だから
遊んでやったけどよ。」

私は一筋の涙を流した。



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