秘めた恋
「そうそう、東郷社が『kiwami』ってブランドの万年筆出したの知らない?」

「知らないです・・・。」

「そっか。まぁ、男性向けだしな。女性向けも作れば良いのに・・・。」と言うと
また彼はスラスラと文字を書き始めた。

「いくら位するんですか?それ・・・」

「5,6万はしたかな?」

「高っ!!」思わず大きな声を出してしまい、片手で口を塞いだ。

「まぁ、これを持ってるだけでも箔がつくからな。社会人になった男だったらみんな
意地でも買ってるよ。」

「そうなんですか・・・・。」

大人の男の社会ってよくわからない。

彼は名刺を私に渡すと帰り際に「今日は、美雪と会えて良かった。実はサークルにいた時から
美雪のことはちょっと気になってたんだよな。」と言われて思わずドキッとした。

「じゃぁな。」そう言って笑顔で手を振って去って行った星野先輩。

私は頬を紅潮させながらコーヒーを一口飲んだ。
心臓の鼓動が早まりドクドクと高まる。

やばい、先輩も私を気に留めてただなんて嬉しい。
単純に嬉しくて、先輩からの誘いが楽しみで仕方なかった。
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