秘めた恋
土曜日になった。

待ち合わせしていたカフェに行くと先に星野先輩は座っていて
本を見ながらノートに何かを書き写しているようだった。

彼は私の存在に気づくと「おぉ、ごめん。実は資格試験が近くて、
重要なところをノートに書き写してるんだ。もう少しで終わるから
もうちょっとだけ待ってて。」と説明してきた。

私は、「はい。」と言って彼の向かい側の席に腰をかけると
ふと彼の握っている万年筆に目がいった。

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『そうそう、東郷社が『kiwami』ってブランドの万年筆出したの知らない?』



『そうよ。和馬くんのお父さんが経営してる会社でしょ』

『えー!?知らなかったの!?』


『仲良いからてっきり彼から聞いてると思ったけど違ったのね。』


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私は、彼のこと何も知らない。


ポト・・・

静かに何かが落ちた。

先輩は、異変を感じて顔を上げると私の顔を見て驚いた表情をした。

「美雪どうしたんだよ。」



私は静かに涙を流していた。






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