秘めた恋

哀しき残酷な真実

見上げるとそこには和馬くんが立っていた。

彼は彼女を自分の方に抱き寄せると
「彼女に二度とこんなマネをするな。」と
冷たい目をして私に言ってきた。

一瞬、その怖さに怯んだが彼がその場を去ろうとしたので
私は彼の腕を掴み「ちょっと、待って。和馬くん、話があるの!」と
必死になって言った。

けれど彼は私の手を振り払うと
「俺はもうあなたに興味ないんで二度と近づかないでください。」と
感情のない低い声で言い放ち彼女と去っていった。

私はその場にしゃがみこんだ。

涙が一つまた一つと流れ落ち、嗚咽混じりに私は泣き崩れた。

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「美雪さんってモテそうですよね。彼氏とかいるんすか?」

「じゃぁ、俺にもチャンスがありますね。」

「美雪さんってクールっすよね!なんか落ち着いてて大人っぽくて。
俺、そうゆう女性憧れるんすよね。」

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「美雪さんって誕生日いつですか?」
「マジっすか!?クリスマスじゃないですか!」

「良いですね。じゃぁ、その日絶対会いましょう!」

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「なんでそんなに見つめてくるのよ。」
「別に良いじゃないですか。」

「美雪さん・・・・」

「美雪さんが欲しいです。」

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「美雪先輩、癒してくださいよ。」
「なんか年上の色気で俺を誘惑してください。」

「なんすか、今のふざけたキスは!?」
「これからが本当の大人のキスです。」

「好きなんです。美雪先輩のことが」

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あの時の優しかった彼はいない。

私のことを愛してくれて
好きと言ってくれて
あたたかく抱きしめてくれた彼は
もうどこにもいない。

彼は変わってしまった・・・。
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