第00夜
夜、ベッドに入りながら、美由は明葉の言葉を思い出していた。
「又あした、か…」
ひとり、部屋の天井に呟く。
明日、又学校で…。
美由は昨日の夢で、明葉から同じ言葉を聞いたよう感じた。
そのうち美由は、ゆっくりと瞼を閉じていった。
「………」
そして眠りに落ち辿り着くのは、物語の続きのように同じ夢。
美由は又、学校の廊下に居た。
「…居るんでしょ」
現れるであろう夢の怪物に言う。
明葉の言葉の影響か‐。
美由の中で、小さく闘う意志が芽生え始めていた。
が…ひとり廊下に佇む美由の後ろ姿を、化物の視界が映す。
背後から急速に迫る邪悪な影を、美由は振り向く由も無かった。

同じ頃…もうひとり、同じ悪夢をさまよう者‐。
明葉は暗い廊下を歩を進めていた。
「………」
相変わらず明滅を繰り返す照明。合わせて伸びては消える自分の影が、不気味に感じる。
昨夜の化物は何処に居るのか…。
早く美由と出会おう。
今の状況は、獣のうろつく園内を丸腰で迷うのと変わらない。
静まり返っている校内が、余計に不安を膨らます。
明葉は、恐怖を殺し進んで行く。
< 23 / 37 >

この作品をシェア

pagetop