兄貴がミカエルになるとき

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中間試験が終わると、雑誌の撮影で週末が埋まった。

10月はまとまった休みがないのでなんと都内のスタジオでシェリルの撮影が行われることになったのだ。

リチャードと、ついでにティムさんも撮影日の5日も前から来日し、2人揃ってまた「サプラーイズ」と、朝の8時にうちに押しかけてきて、今回もママをうんざりさせた。

私はちょうど学校に行こうと玄関を出ようとしていたところで2人に鉢合わせ、うっかりティムさんに「暇なの?」と尋ねたら、すごい力で脇腹をつままれた。

出勤時間の早いパパがすでに家にいなかったのは幸いだった。

11月の頭まで撮影が続き、それが終われば今度はまた期末試験の準備にかかる。

「成績は決して落とすなかれ」、はモデルをやるときの最初の約束だ。

そして期末が終わった後の冬休みには『LOCO SPIRIT』の広告撮影が入っている。

修了式が終わった翌日にはハワイに発つことになっている。

携帯番号とメアドを交換してからは、三品君から2日に1度くらいの頻度でメールが届くようになった。

けど、大抵は本の話とか学校での話。

ブックカフェに行かない? なんていう誘いもたまにあるが、そんな風に予定が詰まっているので、トオ兄がひどく心配している密会時間を作る余裕はない。

それにブックカフェに行くなら本で埋め尽くされたトオ兄の部屋で、ゴロゴロしていた方が気楽で居心地がいい。
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