【完】MOON STONE ~美しき姫の秘密~
黒塗りの車に乗せられて10分


連れてこられたのは輝の倉庫だった


「降りろ」


私が抵抗しないのを見越したのかもう腕は掴まれなかった










「………で、何?」


幹部室で向かいのソファーに座っている私達


かれこれ5分位沈黙が続いていた


翔はじーっとどこかを見ていて動かない


「話が無いなら帰るけど…」


そう言うとやっとこっちを向いた翔


「……………………だめだ」


今日の翔はなんだかおかしい


「ねぇ翔、大丈…「栞がいたんだよ」


え?


「どういう意味?」


そう聞くと翔は、はぁと息をついた


「…お前がいない1週間


栞が倉庫に来てたんだよ」


え……………


河西さんが?


目を見開く私に翔は目を伏せた


「お前と栞を会わせたくなかったんだよ」


そんなの、初めて知った…


頭がぐちゃぐちゃで整理がつかない


でも翔はゆっくりと話してくれた


幼馴染みである河西さんは昔から翔が大好きでよく離れなかった


そして、中学の頃に蓮を脅して石のことを知る


付き合うきっかけは河西さんの脅し。


"インカローズを持った人が女だったら私が潰してあげる"


その言葉だった。


石の相手が女かはその時分からなかったけど翔が断る事はできなかった




…私が倉庫を出なければいけなかった理由は河西さんが来るから


河西さんが私に目を付ける事を恐れた幹部のみんなは



私を隠した




転校すると聞いた時、翔のいる学校に転校すると思っていた


だけど


河西さんが転校したのは私の学校だった





それが真相




「ごめん、私…」


みんなが私の事を考えてくれていたのに


私はいっつも自分の事ばっかり考えてた


「…まあ、そう思って当たり前だろ」


そっぽを向いて言う翔


「それって励ましてくれてる?」


「さあな」


「…ふふっ」


思わず笑ってしまった
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