君想い
あっいけない。


自己紹介はこの辺にして、

そろそろ家を出ないとっ。


「いってきまーす!」


ゆずを幼稚園のバス停まで

送ってから、学校に向かう。


今日から高校2年生。

今日が始業式。


新しい人生の幕開けだ。


駅には桜が満開に咲いていて
すごく綺麗。

なんか得した気分。


「青山?」


後ろから肩をポンと叩かれて
そう尋ねられた。


え?


「青山じゃないですよ?
 
 人違じゃないですか?」


きょとんとして振り返りそう言うと、
綺麗な顔立ちの男子。


その男子は顔をくしゃっとして 
笑い出す。


あれ?変なこと言ったっけ?


「学校なんだけどな笑
 
 青山学園?」


その言葉で同じ制服を着ているのに
気がついた。


「あっそっち?笑
 
 そうですよ?」


「ほんと?!

 案内してもらえないかな?

 俺、今日から通うんだけど
 
 この地図見づらくてさ。」


そう言ってスマホ画面にうつる地図は

建物がところどころしかのってなくて

本当にわかりづらかった。

「いいですよ!」

どうせ一人で行くわけだし、

それにちょっと気分が弾んだ。

誰かと登校するなんていつぶりだろう

なんて考えてた。

男子はホッとしたような顔つきで

「よかったー!

 助かったよ。」


とニコッと笑顔を向けた。

今日から通うってことは、ひょっとして

「 1年生…

(にしては背が高すぎるような)?」


「いや、
 
 今年で2年かな笑

 春休み中に引っ越してきたんだ。
 
 いわゆる、転校生…かな?」


あっ、

転校生かー!

だから今年からなのね。


「そっかそっか!

 ってことは同い年だね。」

人見知りな私なのに、意外と会話は

ポンポン弾み、いつの間にか

学校の近くの水道橋を渡っていた。

歩いていると、
女子たちがちらほらふりかえる。


あぁ、きっと土屋くんだろうなあ。


そう、その男子の名は
土屋 爽汰(つちや そうた)だそうだ。

整った顔立ち。すらっと長い手足。

きっと芸能界でも通じる容姿であろう。

そんな男子と歩いてるのだから

女子の目に止まるのだろう。

「ありがとう!」

その声に顔を上げるともう校門の目の前に

立っていた。

土屋君はそのまま職員室へと足を運んだ。












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