恋は盲目〜好きって言ってよ

その日は、七夕の日



恒例の浴衣祭りとして色とりどりの浴衣

を着た店員たちで華やいでいた。


閉店後、早希と早希の後輩と花村さんと

私は浴衣を着たまま皆で合コン会場へ向

かった。


男女10人ほどが集まり順番に自己紹介を

始める。


「………」


永住社の藤井 拓海です…

目の前にはずっと会いたかった彼が…


驚く様子もなく平然としている彼が憎ら

しい。


毎日、彼を思っていたなんて意地でも言

わない。


「皆、美人揃いでうれしいよ。今日来て

正解だったな」


彼が微笑み言葉を発すると女性陣は頬を

染めはにかんでいる。


私もそのうちの一人…彼から目が離せな

い。


やっぱり、かっこいい。


「あーぁ、また、拓海に持ってかれたよ

。一番のイケメンは言うことが違うね」


苦笑する飯島さん。


彼の同僚らしい彼もイケメン揃いと言う

だけあって素敵な男性だと思う。


「本当の事だろう…ミス七夕もいるし、

浴衣の似合う女性って魅力的じゃないか

⁈」


拓海さんが微笑む。


「ミス七夕って誰かな?」


盛り上がる男性陣。


その、ミス七夕が私だとわかったらがっ

かりするだろうな。


「当ててみて…。当たったらミスを独占

させてあげる」


な、何を言うの花村さん。


私は、物じゃない。


彼女の嫌がらせなのだろう。


クスッと笑う彼女がそこにいた。


「そうだな…奈々ちゃん。違う⁈」


飯島さんが当てた。


拓海さんに当てて欲しかったのに…残念

に思う私がいる。


「へぇ〜、奈々ちゃんね…」


意地悪く笑う拓海さん

なんか悔しい。


「さぁー、飯島さん。松井さんの横の席

に座って下さい。」


花村さんが飯島さんに席を入れ替わるよ

うに指図して、彼女は拓海さんの横を陣

取る。


甘ったるい声で楽しそうに拓海さんと会

話をする花村さんが、時折見せる勝ち誇

った笑み。


拓海さんにわざと触れ女らしさをアピー

ルするそんな彼女に嫉妬してしまう。


そんな資格なんては私にはないのに…


気づけば合コンを言い出した早希は飯島

さんの横に来て一緒に話を聞いている。


目の前では、花村さんと楽しそうに談笑

する拓海さん。


ここに私がいるのに気にも留めずそんな

に楽しそうにしないで…

辛い…


あんなに会いたかった人にやっと会えた

のに私を見てくれないなんて…
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