恋は盲目〜好きって言ってよ

「お願い…意地悪しないで…」


「意地悪なのは、俺か⁈違うだろう」


違う⁈


なにが違うの⁈


「わかんない⁈」


質問されても考える気力なんてない。


「わからないなら、罰だよ。このままこ

こで抱くから…」


罰?


「…だめ」


「なにが…だめなんだ⁈だめなものか。

わかるまで、許さない」


彼の威圧的な声は怒りをぶつけるように

玄関に響く。


崩れ落ちる身体を彼が支える。


薄れていく中、聞こえる声。


「やり過ぎたか⁈」


首筋と背に甘い痛みが何度もはしる…

どれだけ記憶を失っていたのだろう。


ほんの一瞬なのか、それ以上なのか⁈


わかるのは、記憶を無くした時のまま彼

にまだ繋がれているということ。


そのじれったさに懇願する。


「そんなのいやっ……」

喉奥で、笑みを噛み殺してくっと笑う声

が、後頭部から聞こえる。


後悔しても、もう遅かった。


「奈々…お願いしないとだめだよ」


ささやく彼に負ける。


「……お、お願い…意地悪しないで…」


羞恥心からでる精一杯の言葉。


「意地悪⁈意地悪なのは奈々なのに…」


つぶやき、顔を掴まえ唇を重ねて激しく

そして、徐々に快楽へと導いていく彼。


何度も追い詰めて、退いて私をおかしく

させる。


フワッと白い靄が目の奥に現れた時にが

最後の記憶だった。


目が覚めると彼と一緒にベッドの上で横

たわっている。


彼の腕の中に拘束され身動きが出来ない

まま彼の表情を伺う。


長いまつ毛、スッとした高い鼻、私をお

かしくさせるいじわるな唇。


人差し指で彼の唇をなぞると閉じていた

目が開き長いまつ毛が上下に動くと目が

合い、戸惑う。


激しく抱かれた余韻が残っているから…

あんなに乱れた自分が恥ずかしい。


「奈々、今日は、逃げなるなよ」


優しい声と同時にギュっと腕に力が入る

と彼の目がゆっくりと閉じていく。


おでこに寝息がかかりくすぐったい。


幸せで笑いがこぼれていた。


普段優しい彼が、実はとても意地悪なの

だと言うこと


最中には、奈々と呼びこと


新たな彼の一面に気付き嬉しさが増す。


時折、私に見せる意地悪な表情


意地悪な言葉


その全てが、私だけに向けられるものだ

ったら…どんなにいいか。
< 27 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop