白い恋の結晶~キミへと続く足あと~


様々な形や色の花火が夜空にあがり、空を見上げる人々の楽しそうな顔を照らし出す。


あたしの隣には、大好きな柊。


こうやって、同じ花火を見上げるのは中2以来だね。


赤や緑や黄色……。


輝く夜空を見上げる柊の横顔が虹色に光り、更にあたしの目にはフィルターがかかっているかのように普段の倍以上柊がかっこよく見えた。


せっかくの夏の風物詩を見たいのに、それよりも彼の横顔の方が気になる。


柊……好きだよ。


とてもとても、好きだよ。


この次々と弾ける花火のように、あたしの口からも“好きだよ”という言葉が弾けでたらいいのになって思う。


今はこの言葉を飲み込むことしかできないけれど、いつか必ず好きだよって、伝えたい。


あたしは柊の横顔から夜空に視線を移した。


可愛い形の花火がたくさんあがり、たくさんの人々の記憶に刻まれていく。


花火の美しさは本当に一瞬だけれど、今日、この空を見上げた人々の思い出に残る。


4人で見上げた美しい夜空が、永遠に思い出として残ればいいな。



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