白い恋の結晶~キミへと続く足あと~

1年後



~1年後~


「柊!!」


あたしは、キャリーバックを引いて、駅前で待ってくれていた柊のもとに走った。


あたしも柊も、高校卒業。


4月から柊の住んでいる街で、就職が決まっている。


柊も大学ではなく、就職を選択したようだ。


「雪羽!!」


あたしの声に反応した柊が、あたしに大きく手を振る。


3月後半。


この街も、あたしが住んでいた街と同じくらい寒く、雪もまだ少し残っていた。


「あれ? 柊、髪染めたの?」


「うん。今日雪羽の会うためにちょっと染めてきた。この色、似合わない?」


柊が自分の髪を少しつまみながらあたしに聞いてきた。


今まで黒髪だったから、今の淡い茶色の髪がとても大人に見えてドキドキが増した。


「似合わないわけないじゃん。柊はどんな色にしても似合うよ!!」


「ピンクでも?」


「うん」


「青でも?」


「そんな色にできるならやってみれば?」



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