LOVEPAIN
誕生日

エレベーターが10階に止まり、
扉が開く瞬間、

緊張が最高潮に高まった



エレベーターのすぐ近くの部屋の前で、

成瀬がドアにもたれ掛かりこちらを見ていた



そういえば、
部屋番号聞いてなかったな、と思いながらも、

こんな風に部屋のドアの前で待っているなんて予想外で


その姿を見た瞬間に、
心臓が止まりそうなくらい強く鼓動を打った




「おつかれさん」


成瀬はそう言って、
彼の部屋だと思われるそのドアを開く



今、成瀬は見慣れたいつものスーツ姿ではなくて、
私と同じようなデザインの黒いスウェットのズボンに、
上は白い半袖のTシャツ姿



そのTシャツに、英語で時計だのオレンジだのって書いて有るけど、

そのモノトーンでプリントされた男性の顔が猟奇的で怖い



多分、映画か何かのTシャツなのだろう



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