最悪から最愛へ
江梨子夫婦の仲を取り持ったのは、渚と雄介だった。お互い大学時代の友達を紹介したのだ。

もちろん、その時は、誰も紹介した二人が別れるなんて思っていなかった。


｢ふーん｣


雄介は渚と別れて半年後に結婚して、その数ヶ月後に子供が産まれた。計算するまでもなく、渚と付き合っていた時に出来た子供だと誰もが分かった。

浮気相手だったかどうかの真意は不明でも、渚と同時進行で交際していたのは明らかだった。


忘れたつもりでも、それから誰とも付き合っていないから最後の恋となっていて、ふとした時に思い出すこともある。


｢店長さんとの交際をスタートさせれば、雄介くんのことなんて、本当に過去になると思うよ。良い機会だし、渚も店長さんのことは気になっているんでしょ？受け入れる気持ちも準備も特にする必要ないと思うよ｣


腕の中で眠りそうな愛しい我が子の頭を撫でて微笑む江梨子が渚には聖母マリアに見えた。
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